東京モンブラン

ざっくり飲食備忘録です。

スポンサーリンク


レストラン アラジン/広尾

f:id:suiren1114swing0225:20171213222207j:plain

Restaurant ALADDIN

1993年にオープンしたフレンチレストランの老舗。

シェフは川崎誠也さん。最近の料理人は最初から料理の道を志していることが多いのですが、川崎シェフは工業高校を卒業したのち大阪に就職。

その会社がなんとゴム会社の技術部だったそうです。なぜ料理を志したかというと、社食のない休みに行った中華料理屋の料理人を見て、「おれにもできるんじゃないか?」と思ったのがきっかけだったそう。

中華の料理人を目指したのですが、調理師学校でフレンチに憧れてフレンチシェフを目指し、24歳で渡仏。

9年の修行を終え、38歳で独立。『料理の鉄人』では坂井シェフを鶉料理で下し、その名が全国に知れ渡り、現在では日本を代表するフレンチ界の重鎮。

人生はなにがあるかわからないものです。

f:id:suiren1114swing0225:20171213222344j:plain
f:id:suiren1114swing0225:20171129225459j:plain
f:id:suiren1114swing0225:20171129225622j:plain

店内は老舗の趣。20年以上の歴史が染み付いています。

僕は今回で2回目ですが、全然慣れないこの空気感。

もうがちがち震え上がってそわさわが止まらない。連れには笑われる始末。


f:id:suiren1114swing0225:20171129230749j:plain

当店のパンには胡麻が含まれていて香ばしい。

f:id:suiren1114swing0225:20171129230953j:plain

当店はリエットが激うま。もうこれだけで満足できる。パンとリエットだけで延々やっていけるぞこれは、、

f:id:suiren1114swing0225:20171129231210j:plain

ホタテ貝とセップ茸のキャベツ包み、ゆず風味

このタイミングでなんと、僕のスマホのカメラ機能がいかれてしまい、連れのアイフォンの画像で代用します。

連れ曰く、キャベツのなかのほたては大小1つずつ入っていたらしく非常に食べ応えがあったということです。

f:id:suiren1114swing0225:20171129231259j:plain

スペイン産若鶏とフォワグラ、里芋、牛蒡、木の子のガランティーヌ

カメラ機能が復活しました。困ったときの再起動。

にしても若鶏の肉厚さがすぎる。くっそわがままボディ。しかしこれがただのデブではなく、脂がまったくきつくなく味わいはしなやか。太っていながらその実、筋肉質な力士のような肉質(もちろん力士を食べたことはないです)。

詰め物のフォアグラの量もかなりのもので、それぞれの食材がそれぞれにおいしい。前菜から特大ポーションですがすいすいいけます。

ガランティーヌ:鶏や魚に詰め物をして茹で、冷まして食べる冷製の前菜。

f:id:suiren1114swing0225:20171129231342j:plain

手長海老のリゾット
メニュー表には『毛蟹のリゾット』と記載されていましたが、「本日は毛蟹を切らしておりまして、手長海老を使用しております」とのこと。

前回来たときも同じことを言われました。僕はどうやら毛蟹に嫌われているみたいです。

リゾット自体はシンプルな味付けのベーシックなものですが、上にかけられた甲殻類のソースがめちゃくちゃにうまい。

f:id:suiren1114swing0225:20171129231422j:plain

手長海老のロワイヤル
こちらもリゾットの同じソースで、手長海老の肉もしっかり。下から掬い上げると白くてぷるぷるとしたロワイヤルが。

ロワイヤルとはたまごとブイヨンを合わせて蒸し上げた、日本でいうところの茶碗蒸しのような食べ物。

そのせいかフレンチなのに日本人のDNAに呼応する、やさしく安心できる味でした。

f:id:suiren1114swing0225:20171129231512j:plain

シストロン産仔羊腿肉スライス・トマトロースト

シストロン産仔羊は狂牛病の煽りでここ十数年ものあいだ日本への輸出が途絶えていましたが、なんと2017年に解禁。

スライスとはいえ厚みもしっかり、大小3枚も載っています。肉質が細かく、脂ののり方がまったくしつこくない。

かといって味わいがきれいすぎるわけではなく、仔羊のくせも感じられます。

味付けもシンプルで直球勝負といったところ。仔羊を思いっきりたのしむことができる一皿でした。

f:id:suiren1114swing0225:20171129231605j:plain

スペイン産鶉のロースト、キャベツと木の子
敷かれたキャベツの上には数種のきのこがわんさかと盛られ、まさに秋の彩りに満ちています。

そのなかには骨のついた鶉の肉。フィンガーボウルがついてきて、肉は指を使って食べます。

鶉は癖がなく非常に食べやすいので、豚、牛、鶏以外の肉に挑戦してみたいひとには打ってつけです。

それでも一皿にわっと迫力があり、季節の食材の尊さを感じました。

f:id:suiren1114swing0225:20171129231813j:plain

メインまで終わり、テーブルがいったんきれいにかたづけられます。

f:id:suiren1114swing0225:20171129231841j:plain

栗のケーキ・栗の花のハチミツアイス

連れのとったデセール。ケーキはバタークリーム?のような雰囲気の味わい。詳しくはよくわかりませんでしたすいません。栗がごろごろ入っています。

しかしこうしたプティガトー形式の一皿はどうしてもパティスリーのものと比較してしまい、見劣りしてしまう。

しかし手前のアイスは圧倒的な個性を放っています。右がはちみつのアイス、左が洋なしのソルベ。

なかでもはちみつのアイスはほとんどはちみつを食べているような濃厚さに悶絶!!最近食べたアイスでいちばんおいしかった。

f:id:suiren1114swing0225:20171129231907j:plain

リンゴの薄焼きタルト・バニラアイスクリーム添え

アラジンといったらこれ。散々あれこれうまいって言いましたが、結局これに落ち着いてしまうのがアラジン。

注文を受けてから焼きはじめるため、すこしばかり時間がかかりますがそんなことはどうでもいい。おれはいつまでも待つよ。

生地の上に薄切りのりんごがきれいに敷かれ、焼きたての上にバニラアイス。これはもう説明する必要がない味覚であり、皆さんの想像どおりの味なのですが、もうね、文句なしにうまいわけよこれが。

皿盛りならではの、温かいものは温かく、冷たいものは冷たくというアドバンテージを最大限に発揮した品です。パティスリーでは絶対に食べられないうつくしい味覚です。

f:id:suiren1114swing0225:20171129231933j:plain
f:id:suiren1114swing0225:20171129232001j:plain

コーヒー、紅茶をいただき、

f:id:suiren1114swing0225:20171129232116j:plain

プティフールのメレンゲ。しかしメレンゲ、ただの卵白と砂糖のかたまりではなく、なかにアーモンドスライスがぎちぎちに入っているという極上品。

最後の最後まで抜かりなし。
っていうか、

いやだまだ帰りたくないです、前菜からやり直してくださいお願いします。


当店の料理はおいしいというよりもうまい! と表現したほうが正しいかもしれません。

料理自体は研ぎ澄まされて静謐ですが、内から湧き上がってくる食材本来のおいしさがダイレクトに伝わってくる。

目新しさ、前衛的、モダン、いろんな試みがあってにぎやかな近年のフレンチですが、ここの料理は極めて質実剛健であり、食べることの本質を感じさせてもらえます。

命を頂く。そのありがたさが身に沁みて感じられるレストランです。

当店は心の底からおすすめしたいレストランです。ひとによっては人生観が変わるくらいの食体験ができます。

どこかいいところに食べに行きたいなと考えている方はぜひ行ってみることをおすすめします。ごちそうさまでした! また来ます!!

スポンサーリンク