東京モンブラン

ざっくり飲食備忘録です。

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パティスリー・エムコイデ/自由が丘

パリセヴェイユでイートインのモンブランが食べられなかった! 納得の行かない僕は、「エムコイデ! エムコイデに行ってモンブランを買わないと! ああ!」
もはや病気です。
というわけでやってきましたこちら。

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patisserie m.koide
当店は線路沿いにお店を構え、その出で立ちはずいぶんひかえめ。ひかえめを通り越して、もはや何屋かわからない。すくなくともケーキ屋には見えない。さらに言えばパリセヴェイユのあとに訪れたのでそのギャップにくらくらきます。

店内は撮影禁止。わかってる、そういう感じしてるもん。
店内の広さはおそらく3畳ほど。店員さんと客を挟む形でショーケースが置かれていて、それだけ。非常に狭い。4人客が入ったらおそらく窮屈です。あと、店内の窓辺に一輪挿しの和風な花器が置かれて、なにか赤い小さな木の実がついた枝が挿してありました。もうねなんだかわからないパティスリーの雰囲気じゃない敷居高すぎ奥から書道家とか出てきそうこわすぎ帰らせてーーー
って感じなのですが、話したいことはまだある。当店はショーケースに入っているケーキが15種類ほどなのですが、それですべてなんです。というのは、箱詰めのお菓子とか小さな焼き菓子とかヴィエノワズリーとか、そんなもの一切なし。ショーケースの中身がすべて。こんな割りきったプレゼンテーションと経営方法があったか。もう一筋縄じゃいかないレビューするのこわいやめようかな、、

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買ってきました。レビューしよ。

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ムースピスターシュ
まわりのピスタチオのムースは、しっかりとピスタチオの風味を感じる仕上がり。中のベリーのムース(おそらくグリオッドチェリー)の酸味もきっちりと決まって、ピスタチオムースのまったりとした味わいにきりっとした締まりを持たせています。そしてなによりびっくりさせられるのはムースのくちどけ。口に含むと、とたんにスッと溶けていくムースはまるで霞。あら? もうない? みたいな。だからついぱくぱくと食べ進めてしまう。

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ムースフロマージュ
円柱の造形が白色でさらに映えてうつくしい。切ると真ん中あたりから濃度の高いブルーベリー?のソース。チーズの風味はそれほど強くなく食べやすい。このムースはピスタチオのに比べるとふわっとして、くちどけも非常にいい。

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モンブラン
マロンストリングの見映えがポマードで固めたみたいにかっちかちです。そしてなによりちっさいのよこのモンブラン。写真じゃわからないと思いますが、ほんとちっさい。サイズ的にはモンサンクレールモンブランの小ささを上回ります。そしてお値段720円。たっっけえ!!600円代はけっこうありますが、700円に乗るケーキってそんなありませんよ、、
そして肝心の味なのですが、散々言ってしまってあれなんですが、うまい。なんというか、突出した味覚はありませんが、そのかわりに全体のバランスが文句なしに決まっています。栗感と甘味が五分五分の割合。最近よく思っていることなんですが、最近の傾向としてモンブランって栗感を活かすことが先行しすぎて、甘さが抑えられすぎたものが多いような気がします。栗感第一でケーキを構成し、そこに需要があるのは理解できますが、あまりにも甘味が抑制されていると、これは果たして甘味としてのケーキなのだろうかと感じてしまう。そんなもやもやしているなかでこのモンブランを食べたこともあり、なんだか考えさせられたというか、ひとつの正解を見た気がします。
しかし結局、僕の味覚はどちらかというと大雑把なので、わかりやすい味が好きだし、栗感の機微とか正直わかってないのかもしらん。もっと勉強しないといけないなとあらためて思いました。


はなやかなパティスリー業界にとって、当店はあきらかに異端児的。お菓子とはあらゆる食材と食材とを組み合わせる足し算の世界のはずが、当店はどれだけアイテムを減らし、余分な要素を削るか考えている。ゆえにケーキを彩る装飾はほとんどないに等しく、断面に表れる内容もシンプル。もはや発想は和食の領域であり、そうすると外に植えられた紅葉も、店内の和風花器も合点がいき、ぴったりとはまってくる。食べ終えたころにはすっかり当店のファンになっている、そんなパティスリー。ムースのおいしさでいえば都内随一かもしれない。しかしやはり、当店のケーキは映えがなく、インスタ映えはあまりしません。多感な女の子にはなかなかむずかしいお店です。
次回は当店のスペシャリテ的存在、ジャンドゥーヤを食べたいと思います。でも、またあそこに入るのかあ、、やっぱり僕にはハードルが高い。

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