東京モンブラン

ざっくり飲食備忘録です。

スポンサーリンク


ラス/表参道

f:id:suiren1114swing0225:20170530010001j:plain
f:id:suiren1114swing0225:20170530010040j:plain

L'AS

コースは一本きり。フルコースでありながら5000円という破格の価格帯のフレンチレストラン。カジュアル路線で手が届きやすく、表参道という立地も後押しして大人気のレストランです。

当店のシェフは兼子大輔さん。大阪の名店『ラ・ベカス』で修行後上京し、東京屈指の名店『コート・ドール』の斎須シェフに師事。渡仏し帰国後、麻布十番の『カラペティ・バトゥバ!』でシェフを務め、2012年に当店をオープン。

この経歴からカジュアル路線のフレンチとはまったく想像がつかない。前評判が高いのでハードル上がりまくり。しかも今回の連れは4年ぶりに会う女性ということで失敗できない。

失敗したくない。

1ヵ月前に予約して伺います。

f:id:suiren1114swing0225:20170530010636j:plain
f:id:suiren1114swing0225:20170530010840j:plain

カジュアルフレンチだけあってテーブルクロスなどはなく、カトラリーはテーブルの引き出しに収納してあるスタイルです。

f:id:suiren1114swing0225:20170530011737j:plain

【自家製モッツァレラ】

なめらかでおいしー。上にかけてある塩が粗めに効いています。アミューズに手が込んでいます。

f:id:suiren1114swing0225:20170530013456j:plain
f:id:suiren1114swing0225:20170530013525j:plain

【フォアグラのクリスピーサンド オレンジ風味】

ラスのスペシャリテ。ずっと気になっていて、ついにご対面。包装までされて手間暇を感じます。

見た目は完全にハーゲンダッツのクリスピーサンドであり、兼子シェフ自身もハーゲンダッツから着想を得たと公言しています。少々キャッチーではあるかもしれませんが、いいと思ったことは臆面もなく取り入れて、それをスペシャリテにまで昇華させてしまう実力はさすがとしか言いようがありません。

クリスピー部分はぱりっとして、フォアグラ部分はなめらかな油分に富んでいます。

f:id:suiren1114swing0225:20170530012517j:plain

真ん中あたりからオレンジがお目見え。マーマレードみたいな味だけれど、えぐみは感じられず、柑橘の酸味と苦味がフォアグラとよく合います。

ちいさそうに見えますが、実際に食べているとけっこうなボリュームです。コースのはじまりからアクセル全開。

f:id:suiren1114swing0225:20170530013557j:plain

ラタトゥイユ L'ASスタイル】

ラタトゥイユは通常赤いですが、当店のものはトマトの透明なジュレを用い、上にはオリーブオイルのソルベ。

見るからにあきらかな再構築ですが、味はふつうでした。量がけっこうありますが、塩気が強かったために最後まで食べきるのがちょっとしんどかった。

f:id:suiren1114swing0225:20170530014009j:plain
f:id:suiren1114swing0225:20170530014034j:plain

【北海道産ズワイガニのメリメロ】

メリメロとは混ぜるという意味らしく、かに味噌、卵黄、インカの目覚めのピューレ、パルミジャーノを混ぜて食べます。

うま味のかたまり。細かい計算的な料理ではなく、がつんとうま味を食べる料理という印象。わかりやすくおいしいです。なんにも考えなくてもおいしいって楽でいいわ。

f:id:suiren1114swing0225:20170530015703j:plain

【鹿児島県産カツオの冷燻製仕立て】

ソースはブロッコリーのピューレ、パクチーが振りまかれています。

パクチーって好き嫌いはっきり分かれる食材なのに、よくコースのレパートリーに組み込みますよね。僕は食べられますが、連れがパクチー初体験。結果、パクチーは皿の脇へ。好みが別れる食材はむずかしいですね。

f:id:suiren1114swing0225:20170530020447j:plain

【軍鶏のもも肉 オマール海老のロースト】

やったあ鳥のお肉だあ!!!

軍鶏は塩がちょうどよく効いていて、海老さんはちゃんと肉厚。ソースは甲殻類のジュがベース。

これはかなりクラシカルな料理であり、本日いちばんのお皿です。こういう料理を食べさせられると兼子シェフの経験値、これまでの経歴に納得させられてしまいますなあ。

f:id:suiren1114swing0225:20170530023500j:plain

【フレッシュメロンソーダ

お口直しのシャーベット。あんまり好きくない味でした。お口直されなかったです。

f:id:suiren1114swing0225:20170530021405j:plain

【ショコラのクネルとガレドラロワール サマートリュフ添え】

チーズをチョコで食べるのははじめてでしたが、これがなかなかいけます。フランスでは食後にチーズを食べるし、デセールと兼ねて合理的。

ただ、チョコレートソースが濃厚すぎてトリュフが死んでしまっていました。メニュー表に書いてあっても感じられないんだから、目をつぶって食べたら面影すらわからないでしょう。

f:id:suiren1114swing0225:20170530021750j:plain
f:id:suiren1114swing0225:20170530021852j:plain
f:id:suiren1114swing0225:20170530021917j:plain

当店は食後にハーブティーを提供するのが決まりらしく、コーヒーはありません。

なぜなのか!!!

しかもこのハーブティーがあんまりおいしくなかった。いろいろこだわっているみたいですが、なんだかすごく混み入っていてわからなかったです僕には。



なんだか終盤にかけてネガティブな発言が多くなってしまった気がしますが、すべてを総括して感想を述べると、やはり当店は優れています。

ところどころ気になる点はありますが、それはあくまで僕の意見というだけであり、客観的にみればこういうカジュアル路線のフレンチは稀有であり、デートにはぴったりでしょう。健全な初デートなら確実に好感度が上がるはず。

ですが、フレンチにラグジュアリーさを求める場合、やっぱり当店は違いますね。照明は落としてありますが、店内は非常ににぎやかで店員さんの説明がところどころ聞こえないくらい。

しかしそれがフレンチ独特の緊張感を和らげているのかも。こういうことは実際にお店に伺って、席に座って時間を過ごしてみないとわからない。気になっている方はぜひ行ってみてほしいです。


それともうひとつ、当店はランチで行くよりディナーで行くほうが費用対効果が高いと感じました。ポイントは昼夜統一価格という点で、大抵のレストランはランチが安く、夜は高い。正直、ランチという土俵なら当店より優れたお店はほかにもたくさんあります。

当店が真価を発揮するのはディナーだと確信しました。ランチで5000円は高いけど、ディナーで5000円ならばかみたいに安い。たぶん印象がまったくちがってくるはずです。


当店は3週間に一度メニューが変わるみたいなので、またタイミングを見て、つぎはディナーに伺いたいです。

でもほんと、コーヒー出してくれないかな、、

スポンサーリンク